四柱推命において、「用神」は命式全体を分析する上での核であり鍵であり、その地位は極めて重要で、四柱推命の「目」と称されています。
四柱推命における「用神」とは？
「用神」とは、四柱推命の命式において、日主（すなわち命主本人を表す日干）に対して最も決定的な、扶助または抑制、調和または通関の作用をもたらす五行のことです。それは特定の天干や地支を指すのではなく、五行（金、木、水、火、土）の属性を指します。
核心定義と重要性：
- バランスの鍵： 四柱推命の核心は、五行の円滑なバランスを追求することにあります。人の命式には、しばしば五行のバランスが崩れている状態が見られます。例えば、特定の五行が過剰であったり、逆に弱すぎたり、あるいは寒暖燥湿のバランスが崩れている場合などです。「用神」は、このようなアンバランスを調整し、命局全体が比較的調和的で円滑な状態に達するようにする五行です。それはあたかも漢方薬の「薬の引き金」のように、病状に応じて薬を処方し、正気を扶助し邪気を祛除する役割を果たします。
- 命局の核心： 用神は、個人の吉凶禍福、仕事運、財運、健康、感情などの流年や大運の良し悪しを判断する根本的な根拠となります。大運や流年が用神が象徴する五行の運勢に入ると、命主は往々にして物事が順調に進み、運勢が向上すると感じられます。逆に、大運や流年で忌神（用神にとって不利な五行）に遭遇すると、挫折や不運に見舞われる可能性があります。
- 方向の指針： 用神が確定すると、それに基づいて命主は日常生活において自分に有利な選択をするための指針を得ることができます。例えば、有利な業種、職業、居住地、色、ビジネスパートナー、さらには服装のスタイルなどを選択する際にも役立ちます。
目的と機能：
- 扶抑の調整： 日主が過旺の時は、日主を剋したり、泄らしたり、消耗させたりする五行が用神となります。日主が過弱の時は、日主を生じたり、助けたりする五行が用神となります。
- 気候の調和： 命式が過寒または過燥の時、用神は気候を調整する五行となります（例：冬生まれで水が旺盛で極寒の場合、火を用いて命局を温める。夏生まれで火が旺盛で極熱の場合、金水を用いて温度を下げる）。
- 通関による解決： 命式中に二つの五行が同程度の強さで互いに冲剋し合っている時、用神は中間に位置して調和を図り、「敵を友に変える」役割を果たす五行となります。
- 病薬の相補： 命式中である一つまたは複数の五行が強すぎ、「病」を形成している時、用神はその「病状」を抑制または解消できる「薬」となります。
- 特殊な格局： 一部の特殊な格局（例えば従格、化格）では、用神の取り方がより柔軟になり、一般的な扶抑の原則とは全く異なる場合もあります。
基本原則と日主関係： 用神の選定は常に「日主」の旺弱と命局全体のバランスを中心に展開されます。日主は命局の核心であり、用神は日主に奉仕し、五行の力の比較において最も快適で有利な状態に達させる要素となります。
自分の用神を見つける方法
用神を見つけることは、四柱推命において最も挑戦的であり、最も重要なステップです。それは単純な公式の当てはめではなく、命局全体に対する深い理解と総合的な判断が必要です。通常、以下のいくつかの核心的なステップと原則が含まれます。
基本前提：
- 正確な八字の排出： 生まれた年、月、日、時間の正確性を確保すること。これが命式を作成する上での基本です。
- 五行の相生相剋、制化の理解： 金、木、水、火、土の間の相生、相剋、比和の関係、および合、冲、刑、害などの複雑な作用を習得します。
- 天干地支への精通： 各天干地支が表す五行、陰陽、そして蔵干を理解します。
核心ステップ：
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日主の旺弱を分析する (Strength and Weakness of Day Master)： これは用神を決定する上で最も重要であり、最も肝心なステップです。
- 得令： 日主が適切な月に生まれているか？（例：木の日主が春月に生まれ、火の日主が夏月に生まれるのは得令であり、力が強い）。これは旺弱を判断する上で最も核心的な要素です。
- 得地： 日主が地支に根を持っているか？（例：甲木の日主が地支に寅、卯、辰、亥などがあり、蔵干に甲木または乙木がある場合は根がある）。根が多いほど旺盛です。
- 得勢： 月令の地支と地支の蔵干の他に、天干と地支に日主を生じたり助けたりする五行があるか？（例：甲木の日主で、天干に壬、癸の水が生じたり、甲、乙の木が助けたりしている場合）。
- 総合判断： 得令、得地、得勢の三つの側面を総合的に評価し、日主が偏旺、極旺、偏弱、極弱、または中和のいずれであるかを判断します。
- 身旺： 日主の力が強く盛んな場合、日主を剋したり、消耗させたり、気を泄らしたりする五行が用神となります。
- 身弱： 日主の力が衰弱している場合、日主を生じ助けたり、日主を扶助したりする五行が用神となります。
- 従格： 日主が極めて弱く根がなく、命式中で最も強い五行に「従わざるを得ない」場合、この最も強い五行が用神となります。
- 化格： 日主が他の天干と合化して別の五行に変わる場合、用神は化してできた五行から取ります。
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格局中の「病」を見つける (Identify the "Disease" in the Chart)： 日主の旺弱が確定した後、命局全体に明らかな偏りや矛盾がないかを観察する必要があります。これらの「病」は、用神を選定する上での重要な手がかりとなることが多いです。
- 五行偏枯： ある五行が過剰または過弱であるため、他の五行のバランスが崩れている。
- 寒暖燥湿の失調： 命局が過寒（水が多い、冬季生まれ）または過燥（火が多い、夏季生まれ）である場合、調和が必要です。
- 強力な冲剋： 命式中に互いに剋し合い、かつ両方の力が強い五行が存在する場合、通関が必要です。
- 滞り不通： 五行の相生相剋の連鎖が中断し、気の流れが滞っている。
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用神の種類と優先順位を決定する (Determine Type and Priority of Yong Shen)： 日主の旺弱と命局の「病」に基づいて、必要な用神の種類をおおよそ決定することができます。
- 扶抑用神： これは最も一般的な用神の取り方で、主に日主の旺弱に対して扶助または抑制を行います。
- 日主旺： 用神は日主を剋したり、泄らしたり、消耗させたりする五行（官殺、食傷、財星）です。
- 日主弱： 用神は日主を生じ助けたり、日主を扶助したりする五行（印星、比劫）です。
- 調候用神： 命局の気候が過寒または過燥の時、調候用神の優先順位が最も高くなります。
- 例：冬生まれで水が旺盛で極寒の場合、火を用いて命局を温める必要があります。夏生まれで火が旺盛で極熱の場合、水を用いて調和させる必要があります。
- 通関用神： 二つの同程度の力を持つ五行が相剋し合っている時、その間に介入して相生の関係を形成する五行です。
- 例：木が土を剋し、木と土のどちらも強い場合、水を用いて通関します（水生木、木剋土が水生木、木生土に解消される）。または火を用いて通関します（火は木を泄らし、火は土を生じる）。
- 病薬用神： 命局に明確な「病」がある時、その「病」を抑制または解消できる五行を用神とします。これは扶抑、調候、通関と重なる可能性があります。
- 従格用神： 日主が極端に弱く、抵抗する力がないため、命式中で最も強い五行に従うしかない場合。この時、最も強い五行が用神となります。
- 扶抑用神： これは最も一般的な用神の取り方で、主に日主の旺弱に対して扶助または抑制を行います。
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最も有利な五行を選択する (Select the Most Favorable Element)： 用神の種類が明確になった後、命式中でどの五行が最も用神として適しており、かつ原局の他の干支によって破壊されないかを慎重に見極める必要があります。
- 月令の考慮： 月令（月支）は五行に最も大きな影響力を持つため、選定された用神は月令の支持を得られるか、または月令によって深刻に剋されないものである必要があります。
- 原局の構造： 選定された用神が原局で強く剋されていないか、合化されていないか、使える力があるかを確認します。例えば、用神が火であっても原局で水が旺盛な場合、火の力は損なわれます。
- バランスポイント： 最終的に選ばれる用神は、命局のバランスを最大限に改善し、五行の気の流れを円滑にし、日主を最良の状態に導く五行でなければなりません。
- 喜神の概念： 用神と密接に関連するのが「喜神」です。喜神は用神を生じ助けたり、用神を保護したりする五行です。用神自体が命局中で力が弱い場合、喜神は特に重要となり、用神の力を強めることができます。
複雑性与注意事項： 用神を見つけ出すことは容易なことではなく、命理師には深い理論的知識、豊富な実践経験、そして鋭い洞察力が求められます。
- 非公式化： 多くの場合、用神の選定は単純な足し算引き算ではなく、多様な要素が相互に作用する中での総合的な判断です。
- 特殊な状況： 八字によっては複数の矛盾が存在したり、格局が特殊であったりすることがあり、用神の取り方は柔軟に対応する必要があり、時には「真の用神」と「偽の用神」の議論が生じることもあります。
- レベルの差異： ベテランの命理師であっても、同じ八字に対して、用神の解釈に細かな差異が生じることはありますが、核となる考え方は通常一致しています。
- 実践による検証： 用神が正確に取られているかどうかは、最終的には大運や流年における出来事を通じて検証される必要があります。
要するに、用神は四柱推命の魂であり、個人の運命の行方を分析するための羅針盤です。その探求過程は複雑かつ精妙であり、中国古代哲学における中庸、バランス、そして調和を追求する知恵が具現化されています。